コラム

フリーランスコンサルティング市場募集案件傾向レポート(2025年9月版)

2025年9月25日

フリーランスで活躍するITコンサルタントに活躍の場を紹介する才コネクトです。

才コネクトでは、当社プラットフォーム以外も含むフリーランスコンサル市場全体の動向を定期的にモニタリングしております。

今回、第1版となる2025年4月版レポートから約半年が経過し、その間にフリーランスコンサルティング市場はどのように変化したのかを再度調査しレポートとしてまとめました。

DXブームや生成AIの活用は春以降も続いているのか、それとも新たなトレンドが生まれているのか――本レポートでも業界、案件種類に制限を設けておらず、100件以上の案件がウェブサイトで一般公開されている大規模案件プラットフォーム6社より2025/08/21 ~ 2025/09/15の間募集中の案件、全207件を対象に最新動向を分析しました。

前回(2025年4月版)と比較しながら、案件の種類別動向、報酬水準、支援先業界、勤務地・働き方、稼働率といった観点で市場トレンドの変化と継続性を読み解いていきます。

今回の9月版レポートでも、フリーランスコンサルタントやITコンサル、戦略コンサルなど現役フリーランスの方、これから独立を考えている方、あるいはフリーコンサルの活用を検討している企業担当者にとって有益な情報を提供することを目的としています。春から秋にかけて何が変わり、何が変わらなかったのか——本レポートを通じてそのポイントをぜひ把握してください。

 

| フリーコンサル案件の属性動向:IT・戦略・業務系はどれが多い?

まずは、フリーランスコンサル案件の属性(案件種別)について見てみましょう。IT系案件は前回4月版と同様に引き続き最多で、全体の71%を占めました。この割合は春から更に増加しており、デジタル関連プロジェクトの高い需要が依然続いていることがうかがえます。一方、業務系(業務改革・マーケ支援等)は全体の21%、戦略系は8%となり、こちらは前回調査から減少となりました。つまり「IT>業務>戦略」という構図はこの半年で大きく崩れることなく維持されました。

図1:募集中案件における、各案件属性割合

次に、案件属性ごとの主要な案件内容にどのような傾向があるか見ていきましょう。【図1】に各属性の割合、【図2】に属性ごとの業務内容トップ3を示しています。前回と比較すると、IT系ではシステム開発系が多く、次点でPM/PMOなど上流工程のプロジェクトマネジメント関連業務が多数を占めています。特にERP導入やシステム開発など幅広いIT領域で、プロジェクトを牽引するPMロールの案件が引き続き中心です。

業務系では営業支援や資料作成などの業務支援が過半数を占め、次いで業務改革(BPR)関連の案件が多い点も変わりません。

戦略系案件では以前とは反対に事業計画策定が約半数を占め、次いで新規事業開発支援DX戦略策定が主要テーマとなっています。このあたりの内訳にも大きな変化はなく、「ITはPMO中心」「業務系は現場支援中心」「戦略系は事業計画中心」という構図が継続している状況です。

なお、昨今の生成AIブームの影響でAI関連プロジェクトもいくつか見られました。こうした案件の多くはIT系カテゴリに含まれますが、企業のDX推進に伴いPM/PMO人材の重要性が一段と増していることも特筆されます。実際、PM/PMOを募集する案件は引き続き多数公開されており、DXを円滑に進める人材ニーズの高さが伺えます。

図2:案件属性ごとに多い業務内容内訳トップ3

| フリーコンサル案件の報酬動向:平均報酬額に変化はある?

次に、フリーコンサル案件の報酬(単価)動向を見ていきましょう。案件を選ぶ際に最も気になるポイントの一つが単価ですよね。今回分析した案件全体の月額報酬の平均値は約122万円と推計され、前回調査時点(約120万円)から大きな変化は見られません。依然として月額100万円前後が一つの相場感となっており、市場全体の報酬水準はこの半年で安定して推移したようです。

カテゴリー別に見るとIT系案件の報酬が平均で最も高く、業務系、戦略系の順に続くという前回とは反対の結果となりました。

例えば中央値で比較するとIT系:約127万円>業務系:約124万円>戦略系:約116万円となっており、各属性間で極端な差はないものの戦略系がやや低めの水準となりました。

図3:100%稼働時における案件単価調査(最小値・中央値・最大値)

| 単価帯別の案件数分布:ボリュームゾーンはどう推移したか

では、報酬額のレンジ別に案件数の分布を見てみましょう。【図3】は各属性ごとの単価の最大・最小・中央値は全案件の単価帯分布を示しています。月額報酬レンジ別の案件割合を見ると、「90~150万円/月」のレンジに全体の約80%の案件が集中しており、このボリュームゾーンは前回より20万円低い結果となりましたです。最も案件数が多かったレンジも「月額110~120万円」付近で、フリーコンサル案件の多くが月100万円台前半~中盤に収まっている現状には大きな動きはありません。このことから、ここ半年間で市場の報酬相場レンジに目立ったシフトは起きていないと言えます。もっとも、180万円超の高単価案件も引き続き一定数存在しており(詳細は後述「高単価案件の例」を参照)、プロジェクト内容や要求スキル次第では前回調査時以上の報酬水準も十分狙えるマーケット状況です。

図4:募集中案件全体の単価水準

| 案件数が多い業界はどこ?:支援先業界ランキング(最新版)

ここでは、フリーランスコンサルの支援先(エンドクライアント)の業界別に案件数の分布を見ていきましょう。製造業から官公庁まで幅広い業界・業種でフリーコンサル案件の募集が見られる点は前回同様です。中でも案件数が多い上位業界は大きく変わらず、「製造業(メーカー)」「通信」「生命保険」の3業界がトップ3を占めました。今回もこの上位3業界で全体の約4割を占めており、春から秋にかけて需要の高い業界構図に目立った変化はないようですが生命保険、サービス業が新たにランクインしました。製造業界や通信ではDX推進や業務効率化ニーズが継続して高く、SIer業界では大規模ITプロジェクトにフリーのPMOやコンサルを求める案件が多い状況が続いています。

一方、金融業界製薬領域の案件も一定数確認でき、これらは全体に占める割合こそ大きくありませんが前回調査時とも同四程度の割合傾向にあります。

例えば金融機関向けの業務改革プロジェクトやDX推進プロジェクトなども散見され、市場の裾野が広がりつつあることが伺えます。とはいえ主要な案件供給源は引き続き民間企業の製造・IT関連分野であり、「製造・通信・生命保険で3割」という構図に大きな変動はない点は押さえておきましょう。

図5:フリーコンサル案件の募集業界割合

| フリーコンサル案件の勤務地・働き方動向:都内集中とリモート勤務の現状

| 募集勤務地の傾向:首都圏集中度の変化

フリーコンサル案件の募集勤務地について、まず地域分布を確認します。
結果から言えば、案件の首都圏集中傾向はこの半年で大きく変わっていません
前回よりも東京都心・首都圏エリアの案件が増加し全体の約9割を占めており、フリーコンサルの活躍の場は依然として東京中心となっています。関西圏の案件割合は今回も約8%台(前回約7%)にとどまり、その他の地方や海外案件は全体の3割程度と見られます。地方案件も少しずつ増加の兆しはあるものの、「やはり都内が中心」という状況に大きな変化はないと言えるでしょう。

図6:リモートを除く出社が必要な案件における勤務地域

| リモート・出社の勤務条件:ハイブリッド主流に変わりはないか

次に勤務形態(リモートワークと出社の状況)を見てみましょう。こちらも春から大きな潮流の変化は起きていませんリモートと出社併用のハイブリッド勤務形態が引き続き主流で、今回分析でも63%の案件が何らかの形でリモートワークを含む条件でした。前回調査ではハイブリッド勤務が約70%を占めていましたが、今回も同程度の水準(概ね7割前後)となっています。フルリモート可能な案件は全体の22%で、前回の15%から7%増加し、1.5倍程度の増加傾向にあります。一方、完全常駐(フル出社)の案件は約1割強でこちらも大きな割合変動はありません。総じて、コロナ禍以降に定着した柔軟な働き方の流れは継続しており、フリーコンサル市場でも「リモート併用が当たり前」という状況がこの半年間でしっかり根付いたままです。ハイブリッド型で週数日のクライアント先常駐を求める案件が主流である点は、引き続き念頭に置いておく必要があるでしょう。

図7:出社条件(出社・ハイブリッド・リモート) 割合

| 案件稼働率の比較:平均稼働率はどれくらい?

次にプロジェクト参画にあたって重要な稼働率について、最新の傾向を見ていきます。最近は週2~3日稼働の案件など低稼働からフル稼働まで様々な案件が見られるようになりましたが、実際どの程度の稼働率の案件が多いのでしょうか。

今回の調査では、ほぼフルタイム稼働(稼働率80~100%)の案件が全体の約9割を占めました。これは前回調査時(約9割が80-100%稼働)と比べても同水準であり、依然として大半の案件は週5日程度のフルコミットを求めていることを意味します。部分稼働(週2~3日程度の51~80%稼働や、それ以下のスポット稼働)の案件は全体の1割弱程度に留まり、春から秋にかけて低稼働案件の比率がわずかに増えたものの依然少数派と言えるでしょう。

属性別に見ると、戦略系案件ではフル稼働案件の割合が他より低く、50%以下の稼働率の案件も4割前後存在していました。これは前回レポートと同様の傾向ですが、戦略コンサル案件の中にはアドバイザリー的にスポット参画するケースが一定数あるためです。

一方、IT系や業務系案件は引き続きフルタイム稼働が中心で、これらのカテゴリーでは週5日稼働前提のプロジェクトが主流となっています。全体としては、「戦略系はやや柔軟な稼働率の案件もあるが、依然多数はフル稼働」という状況で、この傾向はこの半年で大きく変わっていないようです。フリーで案件を探す際は、自身の希望稼働率にマッチする案件がどの程度あるか、戦略系かそれ以外かといった観点でも把握しておくとよいでしょう。

図8:案件属性ごとの稼働率割合

| 契約期間の傾向:スポット案件と終了未定案件の増加

今回の調査から新たに契約期間の傾向も分析対象に加えました。

結果を見ると、3か月未満の短期案件が全体の53%を占め、最も多いことが分かりました。短期のスポット参画や特定フェーズ支援を求めるニーズが依然として高い状況です。

一方で、3か月~半年の案件は9%、半年~1年の案件も9%に留まっており、比較的中期のプロジェクトは限定的です。

1年以上の長期案件は全体の6%、半年~2年に及ぶような超長期案件はわずか1%と、長期安定的に参画できる案件は少数派にとどまっています。

特徴的なのは、終了時期が未定とされる案件が全体の22%を占めた点です。これは「まずは開始してみて、状況に応じて契約期間を延長する」形式のプロジェクトが増えていることを示唆します。特にDX推進や新規事業支援といったテーマでは、成果が出るまで期間を区切りづらいケースも多く、終了未定案件が一定数発生していると考えられます。

総じて、フリーコンサル市場では短期案件と終了未定案件の二極化が進んでおり、スポット的に経験を積みたい人材にも、長期化を見込んで安定的に関わりたい人材にも、幅広い選択肢が提供されている状況と言えるでしょう。

図9:募集中案件における契約期間の割合

| 高単価案件の例:どんな案件が高報酬を実現?

最後に、高単価(高報酬)案件の事例をいくつかご紹介します。案件を選別する上で一つの目安となるのが報酬額ですが、中でも月額180万円を超えるような高単価案件は競争率が高く人気です。今回調査でも、そうした高単価案件が複数確認できました。

以下に例として各属性の高単価案件の概要を挙げます。

いずれも高度な専門知識と豊富な経験が求められる内容で、報酬水準も市場平均(約120万円)を大きく上回る設定となっています。高単価案件の多くはプロジェクトの要となる重要ポジション(例えばPM/PMOや戦略立案のリードなど)である点が共通しており、求められるスキルセットもハイレベルです。こうした案件を狙う場合、自身の実績や強みを明確に打ち出しつつ、早めの情報収集と応募準備をしておくことが成功のカギと言えるでしょう。

| おわりに:直近の市場傾向まとめ

以上、2025年9月版のフリーランスコンサル案件市場レポートとして、この半年間のトレンドを概観しました。

総括すると、春(2025年4月)から秋(9月)にかけて大きな構造変化は起きておらず、基本的な傾向は概ね継続しています。案件属性の割合ではIT系案件が約7割を占める状況で増加傾向にあり、デジタル領域の高い需要が不変であることを示しています。

また平均単価も約120万円前後で安定しており、市場の報酬相場に顕著な上振れ下振れは見られませんでした。働き方の面でもハイブリッド勤務が主流という流れが定着しており、フリーコンサルタントにとって柔軟な勤務条件の案件を選びやすい環境が引き続き整っています。

もっとも、この間に徐々に顕在化しつつある動きもあります。
例えば生命保険・金融系案件の比率アップ、生成AIブームに関連した新テーマ案件の登場など、次のトレンドの芽とも言える変化が散見されました。稼働率についても一部で週2~3日案件が増え始める兆しがあり、フリーランスの働き方の多様化が進みつつあることがうかがえます。これらは現時点では小さな変化に留まりますが、今後さらに市場が拡大・成熟する中で無視できない潮流となる可能性があります。

今後も才コネクトでは四半期ごとに市場動向を分析し、フリーランスコンサルタントの皆様に有益な情報を提供していく予定です。2025年後半に向けて市場がどのように推移していくのか注視しつつ、ご自身のスキルアップや案件選択の参考に本レポートがお役に立てば幸いです。

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