コラム
【2025年最新版】ITコンサルタント資格は必要?おすすめ資格と難易度・メリットを徹底解説
ITコンサルタントとして成功するのに資格は必ずしも必須ではありません。しかし結論から言えば、資格を取得することは大きなアドバンテージになります。なぜなら、資格は客観的にスキルや知識を証明でき、クライアントや企業からの信頼性を高める強力な武器となるからです。
例えば、外資系の大手コンサルティングファームではPMPやAWS認定資格の保有が応募条件になっているケースがあり、難関資格の取得が年収アップにつながる例も少なくありません。つまり、ITコンサルタントにとって資格は無くてもやっていけますが、あれば確実に有利なのです。
本記事ではITコンサルタントにとって有用なおすすめの資格について、それぞれの特徴や難易度などを解説していきます。
目次
| IT関連の知識・スキルを証明する資格
ITコンサルタントとして汎用的なIT知識を有することはマスト要件であり、標準的なITスキル関連の資格取得は、そのスキル証明にも有用です。おすすめは以下の3つです。
| 基本情報技術者
IPA主催の情報処理技術者試験で、ITの基礎知識を幅広く問う内容です。合格率は直近で30〜40%前後、勉強時間は平均200時間ほどが目安とされています。ITコンサルタントとしての基礎固めに最適な資格です。
| 応用情報技術者
基本情報技術者試験の上位にあたるIPA試験で、より高度なIT知識に加えマネジメントや経営戦略の理解も問われます。合格率は約23.6%と低めですが、ITを活用した戦略立案や要件定義など上流工程を担えるスキルの証明になります。ITコンサルタント志望者ならぜひ取得を検討したい資格です。
| ITILファンデーション
ITサービスマネジメントのベストプラクティスであるITILの基礎認定資格です。ITサービス提供におけるプロセス管理や継続的改善の知識を体系的に学べます。試験は多肢選択式で、非公開ながら正答率65%前後(40問中26問正解程度)が合格ラインです。難易度は高くなく、IT運用やサービス改善に携わりたい初学者に適した資格と言えます。
| プロジェクトマネジメント系の資格
ITコンサルティングで必ず必要になるスキルの一つが、プロジェクトマネジメントスキルです。これらを実績だけでなく、体系的に学び理解していることを証明するために、プロジェクトマネジメント系の資格も有用です。おすすめはメジャーな以下の3つです。
| プロジェクトマネージャ (PM)
IPAが実施するプロジェクト管理に特化した国家試験です。情報処理技術者試験の中でも最難関のレベル4に位置づけられ、合格率は13.5%(令和5年秋期)と非常に低い難関です。プロジェクト計画立案、進捗・リスク・品質管理など高度な知識が求められ、取得すれば大規模ITプロジェクトを統括できる人材としてPMOなどで信頼性を高められます。
| PMP(Project Management Professional)
米国PMIが認定する国際標準のプロジェクト管理資格です。受験にはプロジェクト実務経験と公式研修の履修が必要ですが、その分実践的なPMスキルを持つ証明となり、グローバル企業でも評価が高い資格です。PMPを取得することでPMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)に基づく体系だった知識を習得できます。公式な合格率は非公開ですが調査では約50〜60%程度と見られます。
| CompTIA Project+
IT未経験者や小規模プロジェクト向けの入門的なPM資格です。CompTIA社が提供しており、受験資格に制限なく誰でも受験できます。プロジェクトの基本知識やスケジュール管理、ステークホルダーとのコミュニケーションなど実務に役立つスキルが問われます。難易度も低めで短期間の学習でも合格可能です。まずPM知識を身につけたい人におすすめです。
| 経営・戦略系の資格
ITコンサルティングにおいては、IT知識だけでなく、クライアントの事業を理解し、またその戦略を踏まえたうえで、各要件を定義していくことが重要です。特に上流にあたる構想策定などのフェーズにおいては、経営・戦略系の資格も有用な側面があります。おすすめは以下の通りです。
| 中小企業診断士
企業の経営課題を診断し、解決策を提案できるプロフェッショナルであることを証明する国家資格です。経営戦略・財務会計・マーケティング・ITシステムなど経営全般にわたる広範な知識が求められます。一次試験(択一)と二次試験(記述+口述)に分かれ、合格率は一次約29.6%、二次約18.9%(令和5年度)で、最終合格率は約3〜5%という超難関試験です。
| ITストラテジスト
IPAが実施する高度情報処理技術者試験(レベル4)で、企業のIT戦略策定や業務改革推進に関する高度な知識とスキルを評価する資格です。合格率は15.5%前後で推移しており、記述式の論文試験もあるため難易度は高めです。
| ITコーディネータ
特定非営利活動法人ITコーディネータ協会(ITCA)が主催し、経済産業省が推進する資格です。ITの知識と経営知識の双方を備え、企業のIT活用による経営課題解決を支援できる人材を育成することを目的としています。
| ベンダー系資格(クラウド・ネットワークなど)
ITコンサルティングのプロジェクトで頻出するベンダー・ソリューションにまつわる資格も、実用性が高い有用な資格の一つです。おすすめは以下の通りです。
| AWS認定ソリューションアーキテクト
Amazon Web Servicesが提供するクラウド設計に関する認定資格です。ビジネス要件に適した安全性・可用性・コスト最適化を満たすシステムをクラウド上に設計できる能力を証明します。クラウド活用が進む昨今、AWS資格を持っているとクラウド戦略系の案件提案に説得力が増すため、DX推進のITコンサル案件でも有利に働きます。
| Oracle Master
日本オラクル社が運営するOracle Databaseに関する認定資格です。Bronze・Silver・Gold・Platinumの4グレードがあり、順に取得することでデータベース運用管理スキルを体系的に証明できます。特にSilver以上は国際資格OCPに連動しており、世界基準の資格としてアピール可能です。
| CCNA/LPIC
ネットワークとサーバOS分野の代表的なベンダー資格です。CCNAはネットワークの基礎からセキュリティまで幅広い知識を認定する世界共通の資格で、LPICはLinuxサーバ運用スキルを証明します。LPIC取得者の89%が「業務に役立つ」と回答しており、いずれもインフラ領域を担当するITコンサルタントの信用力向上に役立ちます。
| AI・DX時代に注目される資格 (ITコンサルタント向け)
近年のITコンサルタントのプロジェクトでは、データ分析やAI活用などが急速に活用されつつあります。これらの案件・人材の需要は今後も高まり続けることは間違いなく、それらを対外的に証明するような資格取得は非常に有用です。ここでは、ITコンサルタントの立場でAI・DX時代に有用となりうる資格をいくつかご紹介します。
| G検定(JDLA Deep Learning for GENERAL)
G検定は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する検定試験で、AI(機械学習・ディープラーニング)の基礎知識やビジネス活用に関するリテラシーを有するかを確認するものです。ディープラーニングを中心とした幅広いAI知識について体系的に問われ、AIを事業に活かすための素養を測定します。
学習難易度として、試験はオンラインで実施され、合格率は毎回おおむね65~70%前後と比較的高めです。しっかりと公式テキストや過去問題で学習すれば、多くの受験者が合格できる難易度と言えます。
活用シーンとしては、AIの潜在能力と限界を正しく理解し、どの業務にAIを活用すべきか判断できる人材育成を目的とした資格です。取得により「AIで何ができ、何ができないのか」「AI活用には何が必要か」といった知識が身につき、企業のDX推進におけるAI導入企画やデータ活用提案の場面で大いに役立ちます。また、習得した知識はエンジニアとの連携やITベンダーとの協業を円滑に進める上でも強みとなります。
| E資格(JDLA Deep Learning for ENGINEER)
E資格は、JDLAが提供するエンジニア向けの上級資格で、ディープラーニングの理論理解と実装能力を認定するものです。高度な数学知識や深層学習手法の選択・実装スキルまで問われ、日本のAI分野における「最高峰」とも言われる専門資格です。
学習難易度として、受験にはJDLA認定の講座修了が必要で、試験時間は120分・100問程度と内容も高度です。専門性の高い試験ですが、受験者は十分な事前教育を受けていることもあり、合格率は概ね60~70%程度(直近では68.45%)と高めに推移しています。ただし「難易度が高い割に合格率が高い」資格であり、講座修了までのハードルも含め総合的には難関と言えます。
活用シーンとしては、ディープラーニングエンジニアの実力を公式に証明できる資格であり、高度なAIソリューション開発に関わるコンサルティング案件で威力を発揮します。例えば、企業のAI実装プロジェクトのアーキテクチャ設計支援や、AIモデルの評価・ベンダー選定といった局面で、E資格取得者の知見が信頼性の担保につながります。ITコンサルタントにとっても、最先端AI技術への深い理解を示す肩書きとなり、キャリア上の差別化要因となるでしょう。
| DX検定™(デジタルトランスフォーメーション検定)
DX検定は、DX時代に必要な先端IT技術トレンドとビジネストレンドの知識を幅広く問う民間検定で、2018年に創設されました。爆発的に増えるデジタル分野のバズワードを体系立てて学び、ビジネスへのICT活用知識を測定することを目的としています。
学習難易度として、試験は60分間で選択式120問とボリュームがあり、出題範囲もAI、IoT、ビッグデータ、クラウド、ビジネスモデルなど多岐にわたります。成績に応じて「スタンダード」「エキスパート」「プロフェッショナル」の3段階に認定されますが、いずれかのレベルに認定される受験者は全体の約30%程度と狭き門で、難易度はかなり高い検定です。特に上位レベル(プロフェッショナル)の認定者は毎回数%程度にとどまり、幅広い分野の深い理解が求められます。
活用シーンとして、DX検定で扱う知識領域は、企業のデジタル戦略立案や業務改革コンサルティングに直結します。取得者は最新IT動向とビジネストレンドの両面に精通している証となり、DX推進人材の育成・評価の標準指針として企業でも活用が進んでいます。ITコンサルタントがこの資格を保有していれば、クライアント企業のDX推進プロジェクト(例えば新規デジタルサービス企画や業務プロセスのデジタル化支援など)で信頼を得やすく、提案に深みを持たせることができます。
| データサイエンティスト検定(DS検定® リテラシーレベル)
データサイエンティスト協会が主催するDS検定(リテラシーレベル)は、データサイエンスに必要な基礎知識やスキルを有していることを証明する資格です。データサイエンティストに求められる「データサイエンス力・データエンジニアリング力・ビジネス力」をバランス良く備えているかを評価します。
学習難易度としては、比較的新しい検定で、第1回は2021年に実施されました。試験は100問・100分のCBT形式で行われ、合格にはおおむね正答率80%前後が必要とされています。直近の合格率は40~50%程度で推移しており、統計学・機械学習・データ加工など幅広い範囲をカバーするぶん難易度はやや高めです。
活用シーンとして、ビッグデータ活用が本格化する中、データリテラシーの証明として注目されています。DS検定合格者はデータ分析基盤の基礎知識を備えていることが客観的に示されるため、データに基づく経営改革やデータ戦略策定に関わるコンサル案件で重宝されます。特にビジネス部門とデータサイエンスチームの橋渡し役を担う場合や、自らデータ分析プロジェクトをリードするキャリアを目指す場合に、有用な土台となる資格です。データ活用人材を目指す社会人にとって「非常に役に立つ資格」との評価も得ています。
| 資格取得のメリットと活用法

資格を取得することには多くのメリットがあります。まず、試験勉強を通じて専門知識を体系的に習得できるため、自己研鑽の良い機会となります。独学では触れる機会が少ない分野も含め、カリキュラムに沿って幅広く学べるのでスキルの底上げにつながります。
また、資格は客観的なスキル証明となるため、第三者からの信頼度が増し、結果的にキャリアアップや年収向上にも寄与します。難関資格に合格すれば社内外で高く評価され、転職時に有利になったり、企業によっては資格手当が支給されるケースもあります。
さらに資格は活用してこそ価値があるものです。取得した資格は履歴書や職務経歴書に記載し、転職や昇進のアピールポイントにしましょう。フリーランスで活動する場合は、営業時に自分の武器として資格を積極的に活用することが大切です。
実績が少ないうちは「〇〇資格保持者」という肩書きが信頼性を補完し、クライアントへの説得材料になります。また、資格に関連するコミュニティに参加して人脈を広げたり、資格取得後も継続的な教育プログラム(例:PMPのPDU取得要件など)を通じて最新知識をアップデートし続けることで、市場価値を維持・向上していくことができます。資格は取ったら終わりではなく、その後も使って磨き続けることで真の武器となるのです。
| 資格取得の選び方(現職/未経験/フリーランス別)
| 現職のITコンサルタントの場合
既にITコンサルタントとして働いている方は、自身のキャリア戦略に沿って資格を選びましょう。現在の強みをさらに伸ばしたいなら、その分野の専門資格を取得することで一層の差別化が図れます。逆に弱みを補完したいなら、不足しているスキル領域の資格に挑戦すると良いでしょう。
技術系出身でビジネス知識を高めたい場合は、中小企業診断士やMBAなど経営系資格に挑戦すれば視野が広がります。戦略コンサル寄りでIT知識に自信がない場合は、IPAの高度試験(ITストラテジストなど)やAWS認定資格などで技術知識を補強すると、自身の弱点をカバーできます。
また、プロジェクトマネジメントの実績が豊富な方は、PMPなど国際的に通用する資格を取得しておくと、海外案件や外資系クライアント相手でも一目置かれる存在になれるでしょう。
| 未経験から目指す場合
ITコンサルタント未経験の方は、まず基礎固めとして取り組みやすい資格から始めることをおすすめします。具体的には、ITパスポートや基本情報技術者試験などでITの基礎知識を証明しつつ、並行してITコーディネータやITILファンデーションなど難易度が低めの資格で実務寄りの知識を身につけると良いでしょう。
これらの資格は比較的短期間で取得可能なため、早期に取得して履歴書に箔を付け、転職の足掛かりにする戦略です。その後、余裕が出てきたら応用情報技術者やプロジェクト管理系の資格へとステップアップし、着実にスキルと信用を積み上げていきましょう。
| フリーランスとして活動する場合
フリーランスのITコンサルタントとして案件獲得を目指す場合は、市場ニーズを意識した資格選びが重要です。案件募集要項やクライアントの要件を観察し、ニーズの高いスキル領域の資格を優先的に取得すると効果的です。
例えば、クラウドやDX推進関連の案件が多いならAWS認定資格やデータ分析系の資格があると有利ですし、金融業界向けコンサルなら金融・会計系の資格(ファイナンシャルプランナーや簿記など)も視野に入ります。
フリーランスは初対面のクライアントに信用してもらうことが第一歩ですから、知名度が高く汎用性のある資格を持っていると自己PRが格段にしやすくなります。実際、フリーランスの案件マッチングサイトでは資格名が検索キーワードになることも多く、プロフィールに記載した資格が案件獲得の切り札となるでしょう。
取得した資格は提案資料や名刺にも明記し、自身の強みとして積極的にアピールしてください。
| まとめ:資格は信頼の武器、次のステップへ
資格は、ITコンサルタントにとって信頼を得るための強力な武器です。しかしその武器も、使いこなしてこそ真価を発揮します。資格取得によって身につけた知識や肩書きを実際のプロジェクトで活用し、クライアントの課題解決に貢献して初めて、資格は生きた価値となるのです。
本記事で述べたように、資格はキャリアアップや信用力向上に大いに役立ちますが、それを支えるのは最終的にあなた自身の経験と努力です。ぜひ自分に必要な資格を見極めて計画的に取得し、それを武器にさらなる成長を目指してください。
そして次のステップとして、得た資格を携えて新たなフィールドへ踏み出してみましょう。例えば、フリーランスのITコンサルタントとしてさらなる活躍を目指すなら、フリーランスマッチングプラットフォームへの登録も一案です。プロフィールで保有資格やスキルをアピールすれば企業からの信頼を得やすくなり、あなたの実力に見合った高単価案件と出会えるチャンスが広がります。
資格という信頼の盾を手に、ぜひ次なるキャリアを切り拓いてください。
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