コラム
現役ITコンサルアンケート調査レポート:外資系勤務の評価からフリーランスの満足度、激務の真相まで
「ITコンサル やめとけ」と言われる理由は本当か?
「ITコンサル やめとけ」―― ネット上でこうしたネガティブな声を目にすることがあります。
しかしそれは本当なのでしょうか。ITコンサルタントは高年収で市場価値が高い人気職種である一方、「激務」「ブラック」といった噂もつきまといます。
そこで本調査では、才コネクトにご登録いただいている現役で活躍するITコンサルタント60名を対象にアンケートを実施し、その実態を探りました。
調査は2025年10月にWeb上で行われ、質問項目には
・ファーム所属経験(中堅以上のコンサルティングファーム・SIer(内資), 中堅以上のコンサルティングファーム・SIer(外資), 中小手ブティックファーム/SIer, フリーランス/自身でファーム運営) ※複数回答可
・外資系コンサルファームの働き方を勧めたいか
・フリーランスコンサルタントという働き方を勧めたいか
・ITコンサルタントという仕事を激務だと思うか
といった内容が含まれています。以下、設問ごとの結果を整理し、ITコンサルタントのキャリアに関する実態と“やめとけ”の真相を考察します。
【「ITコンサルはやめとけ」と言われる理由とその実態】
目次
| 所属経験:ITコンサルタントのキャリア背景は?
まず回答者たちのファーム所属経験(キャリアの経歴)を見てみます。
アンケート対象となった60名はいずれもフリーランスのITコンサルティングの実務経験者で、多くはコンサルティングファーム出身者でした。中でも回答者の36%は外資系ITコンサルファームに在籍した経験があるとの回答結果でした。
つまり、約3人に1人は外資系ファーム出身であり、残りの多くは日系コンサルティング会社(国内系ファーム)での勤務経験を持っています。また一部には事業会社のIT部門やSIerなどコンサル以外のIT業界出身者も含まれており、現在、フリーランスのITコンサルタントとして独立して活動しているケースも見られました。回答者のバックグラウンドはこのように多様で、外資系・日系双方のファーム経験者がフリーランス人材として活躍しているようです。
【フリーランスITコンサルは本当に自由で高収入?現役60人の声】
| 外資系コンサルファームの働き方を勧めたいか?(ITコンサル 外資の実態)
次に、外資系ITコンサルファームの働き方を他人に勧めたいかどうかについての結果です。
外資系ITコンサルファーム経験者と回答した方の中でアンケートの「外資系ITコンサルでの働き方を他人に勧めますか?」という問いに対し、「強く勧めたい」、「勧める」と回答した方は70%とかなり前向きな評価を示しました。
注目すべき点は、実際に外資系ファームで働いた経験者はポジティブに評価している点です。
つまり「経験者ほど外資を肯定的に捉える」傾向が明確に見られました。
外資系ITコンサルを「勧めたい」と答えた人たちからは、その理由として
・報酬が高い(成果主義で努力が収入に直結する)
・裁量が大きい・成長スピードが速い
・短期間でキャリアを積める
といった魅力が挙げられています。
実力次第で若手でも大きなチャンスを得られ、高度なスキルが身につく環境であることから、「挑戦したい人には最高の職場」「キャリアに箔がつく」といった声も多く聞かれました。特に年収の高さや急速なスキル習得を魅力に感じる人が多い点が特徴です。
一方、「勧めない」と回答した人は約11%おり、その理由として「成果主義の裏にある厳しさ」「相当な自己成長意欲と体力がないときつい」といった指摘がありました。
例えば「常に高い成果を出し続けるプレッシャーがある」「数字ノルマによる重圧が厳しい」など、外資系ならではのシビアな労働環境を挙げる意見です。
「外資系ITコンサルはきつい」「成果を出す覚悟がない人には勧められない」という本音も見られ、成果主義ゆえの長時間労働やプレッシャーの大きさがネックとして語られました。
つまり外資系ITコンサルは「報酬・成長」の魅力がある一方で、「きつい」「厳しい世界」という現実もあり、この二面性が評価を分けていると言えます。
実際、アンケート全体の傾向としても「外資はハマる人には刺さるが、合わない人にはきつい」仕事であるとの総括がなされています。外資系で活躍できるかどうかは人を選ぶため、挑戦志向で実力勝負を望む人には勧められる一方、安定志向の人にはあまりお勧めできないというのが現場のリアルな声です。
| ITコンサルタントは激務・ブラックだと思うか?
最後に、「ITコンサルタントは激務・ブラックか」という点についてです。
世間では「ITコンサルは激務でやめとけ」といったイメージが先行しがちですが、現場の本音は必ずしもそれだけではないようです。アンケートではまず、「知人や後輩にITコンサルという働き方を勧めますか?」という問いに対し、全体の64%が「強く勧める」または「勧める」と回答しました。
約6割近くがこの仕事を他人にも勧めたいと感じている計算で、世間で言われる「やめとけ」という印象とは裏腹に、多くの現役コンサルが自身のキャリアに満足していることがうかがえます。
自由回答でも「自分の実力次第で報酬アップが期待できる」「働き方の自由度が高い」「汎用的なスキルが身につき市場価値が高まる」といったポジティブな声が数多く寄せられました。
このように、ITコンサルタントという職種は厳しい反面、それ以上に大きなやりがいと魅力があることが現場の声から読み取れます。
ではなぜ「激務」「ブラック」と言われるのでしょうか。
自由回答で挙がったネガティブな声としては、「労働時間が長い」「クライアントワークならではの忙しさがある」「常に結果を求められ気が抜けない」といったものがありました。
実際、クライアントの要望に応えるため長時間労働が常態化しがちで、納期前などは深夜残業や休日出勤を余儀なくされるケースもあります。成果主義のプレッシャーも強く、精神的・体力的な負担は決して小さくありません。こうした厳しさだけを捉えれば「激務だからやめとけ」という評価につながるのも理解できます。
しかし、アンケート結果から浮かび上がるのは「激務ではあってもブラックとは限らない」という実態です実力主義の職場ではありますが、環境や本人の姿勢次第で働き方の満足度が大きく変わることが明らかになりました。現役コンサルの多くはその働き方について「厳しいが、やりがいがある」「成長に繋がる」という前向きな捉え方をしています。
例えば「常に学び続けられるのでスキルが伸びる」「高い目標に挑戦できる」「成果が直接評価・報酬に反映されるためモチベーションになる」といったポジティブな意見が多数を占めました。
要するに、ITコンサルの厳しさは大きな成長機会の裏返しであり、それをやりがいと感じられるかどうかが「ブラックか否か」の分かれ目だと言えます。
アンケート全体を通じて「激務でも、ブラックではない。成長したい人にこそ向いている仕事だ」という結論が示されています。
多くのコンサルタントが自分の仕事に誇りと手応えを感じており、「厳しい=やめとけ」ではなく「厳しい=自分次第で価値あるキャリア」と捉えているのです。
【「激務・ブラック」と噂されるITコンサルタントの真相】
| まとめ:激務でも「やめとけ」とは限らない――鍵は適性と目標
本アンケートから明らかになったのは、ITコンサルタントというキャリアは一概に「やめとけ」と切り捨てられるものではないということです。
確かに、プロジェクトにコミットする以上、長時間労働や高いプレッシャーを伴う可能性のある職種であるのは事実です。
しかしその厳しさと表裏一体で、若いうちから大きな裁量と経験を積める成長機会が得られ、努力が成果に直結する分だけ高い報酬や達成感を得やすい魅力的な仕事でもあります。アンケートでも約6~7割の現役コンサルタントがこの仕事を他人に勧めたいと感じており、「大変だけれど挑戦する価値がある」との前向きな見解が主流でした。外資系ITコンサルファームのキャリアも、合う人にとっては圧倒的な成長と高収入をもたらす一方、合わない人にとっては厳しいだけになり得る諸刃の剣です。
またフリーランスの道も、自律的に案件を選び高収入を目指せる反面、自己管理と不安定さへの許容が求められます。
結局のところ、ITコンサルタントとしての適性と自身のキャリア目標を冷静に見極めることが重要だと言えるでしょう。「激務だからやめとけ」と一律に判断するのではなく、自分にとってその厳しさに見合うリターンがあるかを考えるべき仕事だということです。成長意欲が高くチャレンジを歓迎する人にとっては、ITコンサルタントは最高にやりがいのある職業になり得ます。
一方、安定志向でワークライフバランスを最重視したい人にとっては、確かにハードで負担の大きい働き方かもしれません。本調査の現場のリアルな声を参考に、自身の志向や価値観と照らし合わせながら、ITコンサルというキャリアを選ぶ価値があるかどうかを判断していただければと思います。
